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「真帆、今日落ち着きないな」
「えっ? そ、そう!? 気のせいだよ!」
だけど実際に遊園地まで来て気づいた。
いくらシチュエーションが整っていたとしても、クリスマスの今日だからこそジンクスにも特別な効果があるんじゃないかって思ったとしても、恋愛初心者の私がどうやってレントくんとキスする流れにもっていけるっていうんだろう……!
そんなの簡単にできたら初めから自信なんて失くしてないし!
挙動不審になる私にレントくんはさらに爆弾を落とすような台詞を口にした。
「今日の真帆かわいいな」
「あっ、あっ、ありがとう……」
ピンクのニットとコートは、いつもの私と違うチョイス。
私らしくもなく超ストレートの髪をちょっとだけ巻いてきてしまった。
それを指摘されたみたいで、恥ずかしさが半端ない。
レントくんはいつでも自然体で、それでも周りの女の子の視線を独り占めしちゃうくらいかっこいいというのに。
「変かな……」
私がごまかすように髪の先っぽを指先で巻いてうつむくと、レントくんがぷっと噴き出した。
「全然。かわいいって言ってんのに。真帆、ひとの話聞いてた?」
「き、聞いてるよ! ごめん……」
心臓のバクバクはクリスマスデートの緊張からなのか、観覧車でのキスのことを考えすぎてなのか、もう自分でも分からない。
でもいつも以上に緊張して空回ってることは確かだ。
こんなこと考えていることがバレたらレントくんに変態だと思われてしまう。
私はもう暗くなった夜空に向かって、緊張を逃がすようにふう、と息を吐いた。
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