制服ラプンツェル クリスマスSS

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遊園地の奥の芝生広場の真ん中に大きなツリーが飾ってあって、青と白で幻想的にライトアップされていた。去年見た色とりどりのツリーとはまた違う。 違うクリスマスを、こうしてまたひとつ積み重ねていけることができる。 それだけで幸せすぎて、私はもうジンクスなんかにすがらなくてもいいんじゃないかと思ってしまった。 永遠なんて高望みをしてはバチが当たる。隣に立つレントくんの大きな手をギュッと握りしめた。 「せっかくだから乗ってく?」 散々、遊園地を回ってジェットコースターも乗って、もう観覧車のことはすっかり諦めていた頃、レントくんがふいに観覧車を指差してそんなことを言った。 「の、乗ってく!!」 それに食いつくように答えてしまう私は、我ながらゲンキンだと思う。 さっきそんな贅沢言わないって心に決めたばかりだというのに。 必死感漂う私を見て、レントくんは「真帆そんなに観覧車好きだっけ?」と不思議そうな顔をした。 並んでいる間に夜風ですっかりほっぺたが冷たくなっているはずなのに、私だけ緊張で頬が熱い。きっと赤くなっているだろうけれど、この暗さなら気づかれることはないはずなのでだいじょうぶだ。 チケットを私の手に握らせてガンバレと言ってくれたくるみとさっちゃんの顔が浮かぶ。 せっかく観覧車に乗れるのならば、ジンクスを成し遂げたいと思ってしまう。
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