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観覧車に乗ると自然と私とレントくんは向かい合わせに座ってしまい、絡めていた指先は離れた。それが寂しくてじっと指先を見つめていたけれど、そんな場合じゃないと気づく。
こんなに離れてちゃ、てっぺんでキスできない……!
「ほら、見て真帆。キレー」
キラキラとした瞳で小さくなっていくイルミネーションを指差すレントくんの瞳は純粋そのもので、下心いっぱいだった私は一気に自分が恥ずかしくなった。
「ほ、ほんとだ。きれい……!」
あわてて窓に張りつく私に、レントくんは「やっぱ今日の真帆変じゃない?」と首を傾げた。
「変じゃない。変じゃないよ……!」
「なんか言いたいことあるとか?」
「ないない! ないよ全然……!」
レントくんのことが好きすぎて自分に自信がなくなっちゃうんですって悩みは常時抱えているけれど、それをレントくんに伝えたって仕方がない、自分の問題だ。
私はそれを聞いてほしいんじゃなくって、今はただ単純に……。
――キスしてほしい。
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