制服ラプンツェル クリスマスSS

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「レントくん……、い、言うから手を離してくれる……?」 グレーに近い瞳と輝く銀色の髪は、一見怖くも見えるけれど、レントくんの視線はすごく優しいんだ。私はそれに背中を押されるように、自分の願いを口にしようと決めた。 その瞬間にふと思い出したのは、お友達カップルのリセちゃんの教え。 この間実践したときには、リセちゃんの言った通り絶大な効果があった。 だから私はそれを思い出して、自分の顎の下で手を組んで、上目遣いで目の前のレントくんを見つめた。 「お願い、レントくん。……キスして」 ぐっと詰まったように黙り込んだレントくんの顔は見る間に赤く染まっていき、完全に固まってしまった。 だから二人の唇が触れ合ったときは、観覧車はてっぺんを過ぎるギリギリだったのだけれどきっと神様も大目にみてくれると思う。 だって今日は恋人たちが幸せな夜を過ごす、クリスマスなのだから。   ――来年も一緒に過ごせますように。
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