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ホワイトデーといっても、その日もいつもと変わらず、すみれちゃん、リセちゃんカップルと遊んで、夜になったら桐谷くんの家の前でバイバイした。
「のど乾いたなー。自販よっていい?」
「うん。レントくん白熱してたもんね。リセちゃんとのマリオカート」
リセちゃんが意外とゲームが上手くてレントくんを煽るから、ムキになったレントくんが絶叫しながら何戦も勝負を挑んでいた。
最後にはゲームを見ているのに飽きたらしいナギくんが、リセちゃんに「いいものがあるから家においでよ」と耳打ちしてアッサリゲーム大会は終了した。
リセちゃんの目は子犬のように輝いていた。ナギくんのことが大好きなんだなあ。
「真帆つまんなかったよな。ごめん」
レントくんがミルクティーを買って渡してくれる。
私は両手であったかいミルクティーを包んでもつと、笑って首をふった。
「全然。楽しいよ。楽しそうなレントくん見てると私も楽しい」
こうやってホワイトデーに一緒に遊べただけで、今年も幸せだなーと思う。
夜はまだ寒いのにレントくんは冷たいコーラをゴクゴク飲んでいた。
二人でベンチに並んで座る。
真っ暗な公園は自販機の周りだけが明るくて、その前に座った二人の影が長く伸びる。
ああ、一日が終わっちゃう。もう少し一緒にいたいのに。
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