言葉よりも大切なもの

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 3年付き合った彼女、叶美(かなみ)に、俺は突然の別れを告げられた。 「もう、智也(ともや)とは一緒にいられない!」  怒鳴る彼女。  これでもかと握りしめている小さな拳は震えていた。  冷静を装っているつもりの俺も、内心訳が分からずにパニックだった。  思えば近頃、叶美の様子がおかしかった。  でもそれはよくあることで。  急に機嫌を悪くして、俺に怒って、でもちゃんと話を聞いてやればまた笑顔になる。  だから今回もまたいつものだと思っていた。  俺、どこで間違えた?  いくら考えても思い当たる節が見当たらない。  それも、原因のひとつなのかもしれないな。  遠くで走る電車が目の隅に映る。  ガタンゴトンと聞き慣れた音がここまで届いてきそうなほど、辺りは静かだった。  叶美も、口を開かない。  やがて電車が、通り過ぎた。
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