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Humming Note
「抱きしめて……いいですか……」
言うが早いか、男性はふわりと私を抱きしめた。
「ちょ……、どうしたんですか」
「すみません。少しこのままで」
なにこれ。普通なら痴漢でしょ。私が高校生くらいだったなら叫んでたかも。
でも私は叫ばなかった。なぜなら彼はイケメンだったからだ。
ズルいな……イケメンてそれだけで得するんだ。
――ちょっと待って、この人見たことある。最近よく見る俳優さんじゃないかしら? 俳優の福田蒼一くんじゃないかしら?
「俺、疲れてしまったんです。癒してくれませんか」
「えっ。私?」
「そう。一目見て、俺を癒してくれるのは貴女だと……わかりました」
「そんな。わ、私、人の妻なんです」
「そんなの関係ない。俺と……逃げてください」
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