Humming Note

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(なーんてことが起こらないかしら)  ちょっと素敵な男性が橋の真ん中くらいでずいぶんと長い間夕日を眺めている。私が橋を渡り始めたころから見えていた。 (ああ。私とあのイケメンはなんて不釣り合いなんだろう……)  そう思いながら牛乳が二本入ったレジ袋を見やった。わざわざ橋向こうのスーパーまで特売品を買いに行ってるんだもの。男性の脇を通るのすら恥ずかしい気持ちになった。  さっさと通り過ぎよう。俯きながら足早に、男性の後ろを通り過ぎるときにライン電話の呼び出し音が聞こえた。  すぐに電話に出た彼は 「……うん。……そんな待ってないよ。……いや、会ってから言うよ……」 (あら、青春ね。告白でもするのかしら。それとも別れ話?)  あの感じはきっと告白だ。表情は見えないけど、声色がちょっと硬くて恥ずかしそう。電話を切った後、小声で「よしっ」っというのが聞こえてしまったもの。 (ふふっ。かわいい)
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