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「これ、どちらに置きますか? かなり重いので中まで運びますけど」
「えっと……この辺でいいです。ありがとうございます」
中身がどんなおもちゃかも分からないし、もしかしたら送り返すかもしれない。部屋の中にまで運んでもらうのは止め、玄関の隅に置いてもらった。例え愛想の良いおじさんでも、知らない男の人を部屋に入れるのも嫌だ。いい歳をしてと笑われるかもしれないけど、私は男の人が苦手だ。
伝票に印鑑を捺し、おじさんが帰った後も玄関には仄かに煙草の臭いが残っていた。ダンボールも煙草臭い気がする。
夕食の途中ではあったけれど、当然荷物が何なのか気になった私は、滅多に出番のないカッターナイフを取り出し、びっちりと止められたガムテープに刃を入れた。
「キャーッ!!」
厳重に二重になったダンボールを開けた途端、私は腰を抜かした。
な、何これ!? 死体……?
箱の中にはビニール袋に包まれた状態で横向きに丸まっている男の人が入っていた。
私は震える手で箱を閉じると、慌てて相楽さんに電話をかけた。
おかしいと思っていた。そんなに仲良くもなかった同級生が急にご飯を食べようだなんて、そんなことあるはずがないのは分かっていた。警戒していたはずなのに、プレゼントを送るとしつこいのでうっかり住所を教えてしまったのが間違いだった。
まさか彼女はこの男の人を殺した……? 死体の処理に困って、私に送りつけた?
B級のサスペンスのような物語が頭の中を巡る。
「も、もしもし。相楽さん? こ、これは一体どういう……?」
もしかしたら着信拒否でもされているのではないかと心配したけれど、彼女は案外あっさりと電話に出た。
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