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「あ、もしかしてプレゼント届いた? ごめんね、びっくりしたでしょ」
「び、びっくりしたなんてもんじゃないよ! なんで死体なんか? 私に何の恨みがあるの?」
半分パニックに陥ったまま問い質すと、彼女は受話器の向こうでアハハと声を出して笑った。
「やあね、栞里ちゃん。説明書見てないの? 死体なんか送るワケないじゃない。それ、人形だよ」
「人形……?」
ゆっくりと箱を開き、もう一度中身を確認する。
よく見たらマネキンみたいな感じなのかと思ったけれど、どこからどう見ても人間の男の人にしか見えない。ビニール越しなのがよくないのだろうか。そうは思っても、ビニールをめくって確かめる勇気はない。
「ドッキリじゃないよね? ホントに人形?」
「当たり前だよ。人間の男なんか宅配便で送れるワケないじゃん。でも、嬉しいな。人間の男だと思うほど精巧にできてるってことだね、うちのタケル君」
「タケル君……?」
「この間、言わなかったかな? あたし、ラブグッズの企画開発と販売をしてる会社に勤めてるの」
「ああ、うん。それは聞いたけど……」
ラブグッズとやらが具体的にどんな品物なのかよく分かっていなかったので、単なる商品の企画開発と販売をしているのだと思っていた。
「栞里ちゃんに送ったタケル君はね、今度うちの会社から発売される、最新型のラブドールなの。開発に何十年もかけた我が社の自信作で、なんと人工知能を搭載してるんだよ」
「へえ、そうなんだ……」
興奮気味の相楽さんには申し訳ないほど、味気ない返事をしてしまった。
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