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人工知能を搭載した人形に、私はさほど興味がなかった。それが、どのくらい凄い物なのか見当もつかない。おまけに……。
「あの……ラブドールって何?」
「えー! 栞里ちゃん知らないの? まあ、それもそうか。どうしても男性用って感じで、女性には馴染みないもんね。平たく言うと、エッチができる人形のことなんだけど。ダッチワイフとか空気人形って言えば分かるかな?」
答えを聞いて、軽い眩暈を覚えた。
エッチができる人形……? ダッチワイフ……?
「……なんで?」
「え?」
「なんで、そんなものを私に?」
「だって、この間、長い間彼氏いないし、寂しいって言ってたでしょ? うちのタケル君、ホントにすごいの。だから、一度栞里ちゃんにも試してみてほしくて」
試すって何を? どういう意味? もしかして、私、バカにされてる……?
「あの……せっかく送ってもらって申し訳ないんだけど、私、こういうのはあんまり興味がなくて……。部屋も狭いし、返品させてもらえないかな?」
本当は彼氏がいなくて寂しいなんて思っていない。相楽さんがそう言うから話を合わせただけ。
いくら寂しいとしても、人形となんて気味が悪い。
相楽さんみたいな人ならともかく、私みたいな人付き合いの苦手な人間が人形と遊び始めたらもう終わりだって気がする。
「分かった。どうしても要らないって言うのなら引き取る。でも、一度だけでいいから電源入れてみてくれない? 要るか要らないかは、見てから決めてほしいの」
正直なところ、電源なんて入れたくはなかった。等身大らしき不気味な人形なんて、このまま箱を閉じて返してしまいたい。
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