Vol.1

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 ダンボールの中で横たわっていたはずの人形が、ビニール袋をかぶったまま座っていたのだ。  電源を入れたら勝手に動くの? ウソでしょ!? 怖すぎる!!  ガタガタと体が震え始めて、もう一度相楽さんにに電話をかけた。 「あ、あの……」 「箱から出して電源入れてくれた?」 「は、箱からは出してないんだけど……あの……あー!」   「何? どうかした?」 「あ、あの……か、勝手に動き出して……あぁ、な、何かしゃべってる!」  人形は首を振り、何かしゃべっているようだった。 「前が見えません」  前が見えない? どういうこと? 目が見えるの?  っていうか、少し機械的ではあるけど声も普通の男の人と変わらないんだ。 「もしかして、袋に入れたまま? 袋からは出してあげなきゃ」  相楽さんは事も無げに言うけれど、動き出した人形に触るなんて怖すぎる。 「やっぱりこれ、電源切りたいんだけど、どうしたらいい?」 「電源切るんだったら、さっきと同じボタンを長押しして」  ボタンを長押し? ってことはあの人形に手が届くところまで近づかなくちゃいけないの?
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