Vol.1

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 小さなアパートの部屋に大きなドアホンの音が響き渡った。  どう考えても音量が大きすぎるのだけど、調節するところが壊れていて今はどうにもできないでいる。 「……はい」  来客の予定もないので、恐る恐るドアホンと繋がっている受話器を取った。モニターなどという洒落たものは、私の部屋にはついていない。 「〇✕運送ですが、荷物のお届けに参りました」  荷物……? 何か注文していたわけではないし、まったく心当たりがなかった。 「それ、間違いじゃないですか?」 「え? でも、柚木(ゆずき)様のお宅ですよね? 住所もここだし、送り主は相楽様なんですが」  相楽と聞いてハッとした。そう言えば、プレゼントを送ると言ってくれていた。冗談でも気まぐれでもなかったんだ。  急いで玄関を開けると、私は届いた荷物を見て度肝を抜かれた。 「な、何ですか、これ!?」  まるで2ドアの冷蔵庫でも入っていそうな大きな箱だった。 「えっと、荷姿は”玩具”になってますが」 「玩具!?」  中身を聞いて余計に混乱した。  こんなに大きな玩具なんてあるのだろうか。  私だって一応社会人だし、今日で二十七歳になった。もう立派なアラサーだ。そんな女に巨大なおもちゃを送ってきたということなんだろうか。  これはイタズラ? まさか嫌がらせ?  いずれにせよ、運送屋さんに持って帰れとは言えないので、仕方なく受け取ることにした。
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