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小さなアパートの部屋に大きなドアホンの音が響き渡った。
どう考えても音量が大きすぎるのだけど、調節するところが壊れていて今はどうにもできないでいる。
「……はい」
来客の予定もないので、恐る恐るドアホンと繋がっている受話器を取った。モニターなどという洒落たものは、私の部屋にはついていない。
「〇✕運送ですが、荷物のお届けに参りました」
荷物……? 何か注文していたわけではないし、まったく心当たりがなかった。
「それ、間違いじゃないですか?」
「え? でも、柚木様のお宅ですよね? 住所もここだし、送り主は相楽様なんですが」
相楽と聞いてハッとした。そう言えば、プレゼントを送ると言ってくれていた。冗談でも気まぐれでもなかったんだ。
急いで玄関を開けると、私は届いた荷物を見て度肝を抜かれた。
「な、何ですか、これ!?」
まるで2ドアの冷蔵庫でも入っていそうな大きな箱だった。
「えっと、荷姿は”玩具”になってますが」
「玩具!?」
中身を聞いて余計に混乱した。
こんなに大きな玩具なんてあるのだろうか。
私だって一応社会人だし、今日で二十七歳になった。もう立派なアラサーだ。そんな女に巨大なおもちゃを送ってきたということなんだろうか。
これはイタズラ? まさか嫌がらせ?
いずれにせよ、運送屋さんに持って帰れとは言えないので、仕方なく受け取ることにした。
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