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魔界より呼ばれし者達
ここは惑星スコットの王室。スキンヘッドの男が全身を白い服で包み、部屋の中央で膝まずき、両手を合わせて呪文を唱える。
部屋の中央には、魔法陣のような物が描かれており、人の死体が山積みされている。
男は鬼気迫る形相で、ひたすら呪文を唱え続ける。
天井から、差し込む光が、山積みされた死体を照らす。
男の表情に笑みがようやく浮かぶ。
光の中から二人の人らしき姿をした物が現れる。
片方は男ではあるが、ハエのような顔立ちのおぞましい怪物だった。もう一人は、ショートカット、黒いレザーのようなノースリーブの服、肩当て、肘まで伸びた黒い手袋、やたらと短いスカート、膝上まで伸びている黒いロングブーツの美しい女性だった。
「魔界の騎士達よ。我が願いを叶えたまえ」
男は両手を広げ、その二名に懇願をする。
「僕の名前はベルゼブ。魔界の騎士でもかなりランクが上なんだよね。それなりの願いじゃなきゃ嫌だよ」
「私はこの惑星の支配者になりたいのです。お願いします」
男は両手を合わせてベルゼブにお願いをする。
「この惑星の支配者だって。ケチなお願いだな。そう思わないか、アスタロ?」
「そうね。魔界のトップクラスの私達にお願いする内容にしては、小さすぎるわね」
男の表情が急に怯え出す。
「せっかく魔界から来たからね。ただでは帰らないけど、お前の願いを叶える気はないよ」
「そうね。この惑星を滅ぼしてから帰りましょうか」
男は震えながら、後ずさりを始める。
ベルゼブは男に襲い掛かり、あっという間に男を殺した。
「ところで、サフィアは?一緒に魔界からここに降りてきたような気がするけど」
「見当たらないわね。何処に行ったのかしら」
「まさか。ここの惑星の誰かに入ってしまったとか」
「困ったわね。誰に入ったか分からないし、覚醒する前にその人を殺してしまったら、魔界に逆戻りよ」
「仕方ないよ。その時は諦めてもらおう。人に入ってしまったサフィアが悪いんだよ」
ベルゼブは軽い感じで答える。
「そうね。魔界のナンバーワンとは言え、そこまで私達が責任を負う必要はないわね」
「それじゃ、始めよう。この惑星を滅ぼう」
ベルゼブとアスタロの二人は、笑みを浮かべ、王室を後にした。
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