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☆
「ふわふわでぽかぽかぁ〜。眠くなるなっていう方がムリ」
どうやらリシュは昨年と同じことを繰り返してますね。コロンと寝返りを打って本当に気持ち良さそう。金色の巻き毛からの光の反射で、お日様がちょうどよくあたっていることがわかりますとも。
でもねえ、ペアですから。ほら大切な君のパートナーのソルはもう泣きべそかいてますよ。
「リシュー!こんなところにいたの?どうして寝てるの?みんなもう行ったよ!僕たちも早く行かなきゃ!」
「ソル・・うるさいなあ」
「ナニ言ってるの?もう誰もいないよ!みんな地球に行ったんだ、ほら!」
ソルが持っているのは地球が見える鏡ですね。
みんなもう国を決めてそちらに向ってますね。
「リシュ、見て!もうミイたちなんか物色始めてる!キリたちはイタリアに着いたよ。どうすんの?僕たち行ける国、もう日本しか空いてないよ!日本にはヤオヨロズの神様がいるんだよ、そう習ったよ、クリスマスなんてきっと関係ないよ!どうすんのさ?!早くって言ったのにリシュがいないから。僕、いやだよ落第なんて、かっこ悪いよ。リシュだって2回目の落第になるじゃん。もっとかっこ悪いよ!」
ほとんど泣き声のソル。
ソル、落ち着いて。
「大丈夫だよ。日本?バッチリだよ。これからクリスマス一色になるんだ。あー、信じてないな。私、昨年行ったもん。見たもん。大騒ぎなんだからクリスマス」
「それでも、もう時間ないから!」
「そんなことないよ。まだ11月なんだから、イブまではたっぷり時間あるって」
考え方ですね、コップに入った半分の水。もう半分しかないと思うか、まだ半分もあると思うか。
今回はなかなかいいペアかもしれないですね。昨年リシュのペアだったハルは、リシュを見捨てて一人で合格してしまいましたからね。でもどうかと思うんですよ、ペアを見捨てる天使を合格させるのはね。もちろん口は出しませんけどね。
『とーにーかーく!起きて!』
ソルの剣幕に、リシュがようやく起き上がりましたね。
素敵なことが始まる予感。私は時々感じるんですよ、ときどきね。
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