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「すごい!!グルングルンだ〜!」 ソル、もうすっかり観客ですね。 「ツリー大きいね。ツリーの下でってことはクリスマスプレゼント?日本人せっかちだね」 「うん」 リシュはちらりとしか舞台を見ていないようですね。 「終わっちゃった。クリスマスまでやってるのかと思ったのに」 ソル、それは人間にはムリですよ。 うん?トロンボーンの音ですか? 「あー、クリスマスの曲だよ!なんか元気でるよね!わっ!?なに?見てる人もラッパ吹きだしたよ!あっちでも!音が重なってくるよ!すごいよー!」 フラッシュモブですね! 最近はあまり見ませんがやっぱり楽しいですね。時間が経ってもいいものはいいです。 たくさんの拍手の中、次の曲が始まりましたね、これは<聖者の行進>! 「キャー!かっこいい!」 ソル、楽しそうですね。 でもリシュはさっきから興奮しまくりのソルと違って静かですね。 「・・ソル。あの人を幸せにする」 「えっ?今?」 「うん!」 リシュが背中の弓を下ろしました。そして小さな矢をセットします。キリキリと弦を引くと、矢の先にほわんとした光が宿ります。 「えっ?リシュ待ってよ、僕まだ準備できてない!」 ソルの慌てた声が<聖者の行進>の音楽の中に解けていきます。 「えいっ!」 リシュの声と共に放たれた矢が、キラキラ光りながら地上へと。 舞台を見つめるたくさんの観客たちの後、スーツ姿でトランシーバーを持った二人の方に飛んで行きました。 「リシュってばヘタだなあ。女の人の方に当たったよ・・えっ?えっ!えーー!!あの二人を光が包みだしたよ!えー!あの女の人があの不幸そうな男の人の方を見てるよ、光が包んじゃったよ!あの二人のこと包んじゃったよ!もう矢いらないじゃん!僕の矢、いらないじゃん!酷いよ!!僕の矢どうするんだよ?!」 リシュ!それでは昨年のハルと同じじゃないですか!ソルは昨年の君になっちゃうよ! 「ソル、大丈夫だから」 「なにが?ナニガ大丈夫なんだよ!」 「大丈夫。今のは昨年の矢だから」 「・・昨年の?」 「うん。私が昨年あの人に打とうと思った矢。でもパートナーがわからなかったんだ。今年、あの人のそばに良い人がいて、でも彼女のこと好きになってなかったらソルの矢を使ってもらおうと思ってたんだ。でもあの疲れた男の人、彼女のこと想ってるから。それがわかったからあの人が彼のこと好きになればいいんだ。あの疲れた不幸そうな男の人すごーく疲れてるよね、でもずっとあの人のそばにいたんだ、ずーっと。だから大丈夫!二人は幸せになるから!昨年の古い矢だから、ちょっと時間かかるかもしれないけどね」 リシュ・・・二年跨ぎで。 「そうかぁよかったぁ〜・・ってダメじゃん!ターゲット決めてるってあの人のことでしょ?じゃあ1からじゃん!どうすんの?!もう12月なっちゃったよ!探してないよね?他のターゲット、リシュが決めてるって言うから!もうポーンって適当に・・」 「ダメだよ!ソル、課題を忘れたの?『幸せになるべき人』を矢の力で幸せに導くんだ」 「で、でももう時間ないよ!クリスマスツリーもピカピカなんだよ!イブまでにちゃんと誰かを天使の光で包まなきゃ!どうすんの!?リシュはもう包んだからいいけど、僕は?」 「大丈夫!まだ22日もあるんだから!明日からがんばろー!」 「何言ってるの!?今からだよ!ターゲット見つけなきゃー!!」 「ソル、今はゆっくり音楽を聴いて楽しもうよ。ほら見て!さっきの二人を淡〜い光が包み始めた。あれが天使の矢の力だよ。あの光が育つんだ。きっと綺麗な光になるよ、優しい光になるよ」 リシュがニッコリと笑顔になりました。 リシュ、ソル、素敵な時間をありがとう。 ちょっと早いバースデープレゼントみたいです。受け取りましたよ。 素敵なことが起こる予感ってありますか? 私はときどきあります。 天使の矢の淡い光に包まれて、地上の二人が輝くツリーに近づいて行きます。 明日からのソルとリシュも楽しみですね。 〈fin〉          
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