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ーー
「わぁ!」
「うっわぁ!? 何だよ! お前かよ! ビビって損した!」
いきなり廊下の角から出てきたのは、幼馴染みのマキだった。
「はぁ? ぶつかりそうになったら、ごめんなさいだろうが!」
「いってぇ!」
マキは思いっきり腹を殴ろうとしてくる。それを避けたが、避けきれずに腕を殴られた。昔から暴力的なのだ。
「お前ねぇ……もうちょっと可愛らしくいろよ」
「じゃあ、アイは逆にかっこよくしろよ」
廊下で睨み合う俺たちを止める人はいない。むしろ、また始まったと笑うやつらばかりだ。
密かに俺たちの睨み合いは、この学校の名物として語られているとかなんとか……。前にギャラリーの中に他学年のネクタイを見かけたこともあったな。
「アイって呼ぶんじゃねぇ!」
俺は、相手が女であることも構わず蹴りをいれる。その蹴りを、マキは体を横にして避けた。そのまま1回転して回し蹴りを繰り出す。
「っぶね」
大きく後ろに飛んで交わす。ギャラリーは、波紋が広がるように距離を取った。しかし誰もが笑って見ている。
日常茶飯事のこの喧嘩は、もはや賭けの対象になっていることもあるらしい。
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