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「………?」
「よ〜く見ててね」
1、2、3……とリズムを取りながら、腕をゆっくりと左右に揺らす。
「ほら、これがオルゴールだよ!」
さっきまで何も無かった手の中に、小さな箱が乗っている。
「えっ、えっ!? すごい! どうやったの??」
表情が明るくなったレムに左側の口角を上げると、内緒と楽しげに笑う
「触ってもいい?」
おずおずと聞くレムに頷く。
「うわー、小さいわ……。軽い!」
「それは、ぼくが持ってるオルゴールの中でも小さいものだね」
「えっ、もっと小さいのもあるの?」
「うん」
ほう……と一つため息を漏らして、夢見心地に瞳を閉じる。
──マリンが優しい目で彼女を見つめていることにも気付かずに。
「すごい……。クリスタルの人たちって手先が器用なのね」
「うーん、あまり気にしたことがないけど、言われてみればそうだね」
壊れないようにそっと両手に包み込んだオルゴールを、名残惜しそうに見やるとマリンへ返す。
「貸してくれて、ありがとう」
「いらないよ」
渡そうとしたら、そんな声が聞こえて顔を上げる。
「ふぇっ?」
聞き間違いかと思って問い返そうとしたら変な声が出てしまった。
「それ、きみにあげるよ」
オルゴールを持ったレムの手に自分の手を重ね、マリンは柔らかな口調で言った。
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