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戦場での再会
刃が人の身体を貫くたびに心に痛みが走る。
日に日に濃くなる血の匂いに、吐きそうになったその時だった。
吐くまいと顔をあげた視線の先に、空と同じ色の髪が映る。
「えっ……」
けれどそれは、一瞬で紫色に変化した。
「な、んで………」
驚きは、離れた場所にいる彼にも届いたのだろうか。
振り返った彼と視線が合う。
お互いに時が止まったように動けない。
(どうして彼がここにいるの…!)
レムはふらっとよろめいた。
その拍子に上着から落ちたものがカツンッと乾いた音を立てる。
地面へと落ちた懐中時計から、優しいメロディーが流れている。
それは、この場には相応しくない音だった。
オルゴールの音の向こうで再び視線が重なる。
彼の瞳は、哀しみと苦痛に染まっていた。
……おそらく、レムの瞳にも。
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