届けと祈ってるの

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 美術部の備品が置いてある棚には、先輩たちが残していったスケッチブックが数多くあり、ほこりをかぶるほど古いものもあれば、僕の一つ上の先輩のものもあった。僕は一つ上の先輩である、美子先輩のスケッチブックを手に取り、ぱらぱらとめくった。どれも優しいタッチで、繊細に描かれていた。僕の一つ上の先輩はもう一人いた。藤峰先輩のスケッチブックを探すが、その棚には見当たらなかった。  僕は独り、美術室に佇む。そして自分のカバンから、スケッチブックを取り出した。そして、とあるページを開く。鉛筆で書かれた檸檬と林檎。その脇には、赤の鉛筆でよいところと、悪いところが書かれていた。    ◆ 「何かあったの?」
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