届けと祈ってるの

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 僕と先輩以外の美術部部員は帰宅してしまい、二人で美術室に残った。下校時刻まであと十五分だった。 「自分の描きたい絵が、うまく描けなくて」  そう言うと、先輩は少しだけ沈黙してから「スケッチブック見せて」と手を伸ばしたので、僕は素直に従った。  ぱらぱらと先輩がスケッチブックを見る。つたないものばかりのスケッチブックを見られて、ものすごく恥ずかしかった。僕は見せたことを後悔した。でも先輩の前で嘘はつきたくなかった。  先輩は筆箱から赤の鉛筆を取り出し、スケッチブックに何かを書きこんでいるようだった。それが終わると、先輩はスケッチブックを閉じて僕に渡した。先輩はじっと僕を見つめて、こう言った。 「明日の朝、早く来られる?」  僕はうなずいた。
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