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「痛い! よめろよ」
「うっせえよ。クソ馬鹿が!」
「ねぇ、失礼だよ。クソと馬と鹿に」
ハハハッ、ウフフッと俺をあざ笑う声がする。
もう何年目だろうか? きっかけも全部、小さなことだった。
最近は凄く自嘲している気がする。
「ねぇ、ちょっと見て! あの子また一人でどっか行くよ」
「えぇ~、面白いな。可哀想なぼっちさんはどうせ一人で弱虫だから泣いてるんだろ」
俺は何を散々言われても黙っていた。
第一、俺が籐馬と仲良くしていたのが間違いだった。からかい半分で聞かれた好きな子がたまたま一緒で、それを本人、見延菓蓮に言われて、俺は見延さんや籐馬にいじめられるようになった。両親とあまり会うことがないし、友達という友達もいなかったし、友達もおらず、勉強だけ頑張ってきた。だから、結局のところ感情や愛にふれる機会が少なく自分自身の心を遠くの方へ自動的に追いやった。
その後、弟と妹が産まれ、引っ越した。そいつらに最後に言われたのが
「逃げちゃうの~。親、過保護すぎ」
「まぁ、あんたといれて楽しかったよ~」
だった。あいつらは、そういつものようにハハハッ、ウフフッと俺をあざ笑っていた。
俺は最後まで何もいわず無視していた。
その時に思うことがあった。
妹と弟には絶対に心を持ってほしいと。
初めてできる大切な人に自分と同じ苦労はさせないようにしよう、と。
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