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次の日、俺は目を覚ました。すると、鞠桃と糸葉と妹と弟が心配そうに顔をのぞかせていた。
「お兄ちゃん、大丈夫?」
「お兄が起きたよ、モモねーちゃん!」
「あんたのせいであの後、糸葉はあなたと妹ちゃんを抱いて病院に連れて行ったのよ」
「俺は一体何を……」
「あなたは菓蓮ちゃんと籐馬くんの話を聞いて、何かを考えるように気を失ったんだよ」
そうだった。俺は菓蓮と籐馬の本当の気持ちを知った。だからといってあいつらをゆるせる訳じゃない。そして真に受けても感謝しがたい事実だ。けれど思うことがある。生きていてほしいと。また前のように話がしたいと。そして、世の中には悪い人なんていないんじゃないかって。みんな何かのために戦い笑い、感情を持ったのかもしれない。籐馬はそれを救うヒーローになりたかったから菓蓮を好きになったんじゃないだろうか。もう会えないけど、生きてるのかさえ分からないけれど、もっと広い世界をもっと大きな視野で己の感情と共に生きないといけないと思った。それがきっと彼にいや、彼らに伝えられる気持ちだ。それはもういないはずの菓蓮の望んだ世界と同じものだった。
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