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「普段と全然雰囲気違ったっスね。あれが素ですか?」
守は苦し紛れにどうにか悪態を付いてみる。
「作ってると思ってる?残念、どっちも本当の俺だよ。まぁ、一人称はわざとだけど、それぐらい誰だってしてるだろう?」
ニヤリと笑う顔はいつも可愛いと言われている姿からは想像もできない。
「ずっと気になってたんだよ。俺がまだ何もしていないのに、君は初めて会った時から俺のことを警戒してた。……イラついて仕方なかった。どうやって泣かせようかずっと考えてたんだけど、まさか君から近づいてくるとは思わなかったよ。でもまぁ、ちょうどいい。」
「な、に……っん!う…ぁ……!っ…──」
結月は含んだような笑みを浮かべると、守の腕を掴んでいた左手をうなじまで持っていき、自分の方へ引き寄せていきなりキスをした。驚いた守は右手が自由になったのにも気付かずされるがままだった。
「…っ……はぁ。ふふっ、いいねぇその顔、最高に唆る。……しばらくは楽しめそうだ。」
惚ける守をよそに結月は満足といった風に守を解放すると、そのまま帰っていった。
「……んだ、あれ──」
守は壁に背を預けるようにして、その場に座り込んだ。
(めっちゃ気持ちよかった……)
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