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「盗み聞きなんて趣味悪いなぁ。」 「…っ!」 背後からの声に振り返る間もなく、ドンッ!という衝撃と共に守は壁に押し付けられた。掴まれた両腕はビクともせず、脚の間に膝を入れられて身動きが取れなくなった状態で、気が付いたらいわゆるをされていた。体格差から膝を曲げた状態でも結月が見上げるような体勢だったが、そこに心躍る青春のような甘酸っぱさはなく、少しでも動いたら喰われるというような本能的恐怖が守の中に広がった。 「コソコソと聞き耳立ててる奴がいると思ったら君か。こんなとこで何してるの?」 「っ…体育倉庫の鍵の確認、を…!」 「あぁ、キャプテンの仕事だもんね。お疲れ様。」 そう言って笑う姿は、やはり目だけは鋭く冷めていた。 「さっきの…何、スか……。」 自分の首を絞める行為だとわかってはいたが、守は聞かずにはいられなかった。 「何って…告白断っただけだけど?」 「だけって…!あんな酷い言い方──」 「優しく言ってもわかんないから、はっきり言ってやったんでしょ。……それより、自分の心配したら?どういう状況かわかってる?」 結月が握っていた腕に力を込めると、守は痛みに顔を顰めた。
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