42人が本棚に入れています
本棚に追加
航太は高校の頃の同級生で、私が彼に初めて告白をしたのは二年生の時。
当時の彼は、まだ誰とも付き合ったことはなかったのに、私はフラれた。
友達以上の気持ちにはなれないという、ベタな理由で。
それが第一回目の失恋。
その後、航太に初めての彼女ができた。不愉快なほどに、可愛いらしさ全開の女子だった。
けれど、ふと私は思った。
そうか彼は、あーゆー感じが好みなのか、ならば見た目だけでも同じにすれば、振り向いてもらえるかも、と。
単純な私は、見た目を真似ることでリベンジを図った。
服装、髪型、化粧、それらをできるだけ似せて。
当然すぐには相手にされなくて、でも別れたあとならいけると思った。
幸いにして、二人は三ヶ月ほどで破局。
「航太、私と付き合って」
「今はそんな気になれない」
弱まっているところを付け込んでまでも、呆気なく敗れた。
二回目の、告白と失恋。
高校卒業後は、彼と同じ大学に入った。
もちろん私は意図的で、親友の結子も一緒だったのは、彼女の純粋な進学先だったからだ。
在学中の航太は、四人の女とくっつき、短い期間で別れるを繰り返していた。
それだけモテたという訳だけど、けして遊び人でもいい加減な男でもないのに、どうしてか長続きのできない人らしい。
そして交際相手のタイプも、毎回コロコロと変わる。その度に私は変装のごとく、全身を真似した。
別れたという情報を手に入れると私はすぐに、
「航太、今度こそ私と、」
「無理」
彼の返事も、次第に雑になっていった。
最初のコメントを投稿しよう!