大好きの行方

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「だけどなぁ……」 灯里はエステサロンに通っている。それも俺には内緒だ。たまたま置きっぱなしのスマホが鳴り、美容外科らしき名前が表示されて俺の知るところとなった。 「歯医者さんなの」  時々、灯里を迎えに行く。確かに一階には歯医者がある。でも、見上げると四階には美容外科の看板が。  若さを意識してるだろ、絶対。本来ツッコミどころなのに、灯里の1言で言えなくなった。 「正輝はいいな、美容を気にしてなくて」 思いっきり気にしてる!!  灯里の様に、肌や顔じゃないが―― 逆ツッコミを怖れた俺は黙った。  大好きな灯里。君がしわくちゃになろうがずっと好きだよ。  眩しい光の下で会うと、灯里はメイクをいつもよりバッチリきめてくる。素顔に惚れているんだよ、そう言ったら灯里の唇は尖っていた。  どう言えば伝わるんだろうなぁ。
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