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マイもソレに気づいたのだろう。後を向いた。
「そんな! こんな時に! 君、危ないから向こうに――」
おれはマイとの距離を詰める。
「危ない!」
マイはおれに背を向け、ぱたぱたと走っている年端もいかぬ幼女の元に、走る。
「おねーさんどいてー。あいり、今いそいでるのー」
この状況に気が付いていない幼女は無邪気にそのままぱたぱたと走っている。そのせいでマイは負け、そのおかげでこのおれイグニスは勝つ。
マイは幼女に覆いかぶさるように両手を広げ、おれの攻撃から幼女を庇う。
「おれの勝ちだ! イグニッションバース――」
幼女もろともマイに向けて熱線を浴びせ――ようとした。が。
マイはとんでもない勢いで遠くへ――天空へと消えた。
「はあ?」
自分でも信じられない程、間抜けな声が出た。視線を上空に向けるが、そこにマイの姿は無い。
「どうしよう。やっちゃった。おねーさんごめんなさい」
幼女は虚空に向かって頭を下げる。唖然。幼女の動作から察するに、マイを天空へ突き飛ばしたのはこの幼女だろう。
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