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マイは土煙を吹き飛ばしながら一気に距離を詰める。まるで土煙による目くらましなど必要無いかの様に。
マイの右ストレート。それに対し頭を横に傾けるだけで躱し、おれは右のボディブローを繰り出す。マイはそれをクルリと体を回しながら、おれの背後に回り込み肘鉄を後頭部にめり込ませた。ミシリと脳髄に音が響く。激痛。おれは追撃を防ぐため、マイの方に向き直しながら地面を蹴りマイから遠のく。
マイはその場から動いていない。が、拳銃の形にした人差し指から光弾が放たれる。
おれは考えを正さなければならない。魔法少女シューティング☆マイ。彼女のファイティングスタイルは魔法の光弾を飛ばし攻撃するガンマンであると思っていた。しかし、それは間違い。彼女は――拳士だ。
要するに、基本は敵の懐に入ってのインファイト。距離を取られれば光弾を放つ。それがマイの真のファイトスタイル。
これは確かに隙が無い。だが、光弾を放ち過ぎたのか最初に比べ弾速は落ちている。
おれは腕を十字に構え、頭部を守る防御の体制をとる。光弾が腕に触れる――瞬間、閃光、爆音と共に光弾は炸裂した。
してやられた。弾速が遅かったのも着弾点に防御力を集中させるためのもの――飛び散った光の粒は無防備かつ気の抜けた腹部や足を貫いた。
予想外のダメージにおれは片膝をつく。地面に触れていない方の膝に重みを感じる。そこにはマイの左足があった。おれの膝を踏み台にして、マイの右膝がおれの顎を撃ち抜いた。完璧な角度のシャイニングウィザード。
飛びそうな意識の中、ふと脳内に浮かんだのはブリザードの不敵な笑みだった。怒りがこみ上げる。こんな状況の中であいつの顔が浮かぶのか。
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