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ある小さな小さな惑星。頑張れば歩いて一周できるくらい。
少年が赤道のあたりで石を探している。手のひらより小さくて、薄い平らな石。ちょうどいい石をいくつか見つけると、少年は小高い丘に登る。
肩をぐるぐると回し、右足を後ろに引くと、地面と平行になるようにアンダースローでひゅっと石を投げる。兄に教わった投げ方。
重力の小さな惑星では、石はロケットのように空をまっすぐに飛んで行く。
石は落ちることなく、遥か遠くに消えて見えなくなる。
少年は丘の斜面にゴロンと仰向けになり、じっと空を見上げる。
しばらくすると、投げたのと反対の方から、石が空を飛んできて、投げた方向に通り過ぎて行った。
少年の目が輝いた。
そして、またしばらくすると、再び同じ軌道を石が通り過ぎていった。
「やった!」
少年は飛び起きると、残りの石も次々に投げる。半分は地面に落ちたが、半分は軌道にのって惑星の周りをくるくると回った。
顔中笑顔の少年は、家に跳んで帰る。重力の小さな惑星、少年の体は、トランポリンのように跳ねた。
兄に伝えるのだ、
初めて自分の投げた石が衛星になったことを!
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