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さて、大国主命を語るには、因幡の白兎は欠かせない存在です。
大国主命と因幡の白兎が出会ったとき、白兎は海を渡ることに失敗して大怪我をしています。
大国主命の兄である八十神たちは白兎に嘘の治療法を教えていじめますが、大国主命は白兎に親切にしてやり、丁寧に治療法を教えます。その代償として、白兎は大国主命に予言を与えます。
白兎の予言の内容は、次の通りです。
「八十神は、八上比賣を絶対に得ることはできません。八上比賣を妻にできるのはあなたです」
古事記の記述を読み解いていくと、八上比賣は因幡の豪族の娘と推測されるようです。彼女の名に命と付かないのは、八上比賣が巫女であるからだそうです。
邪馬台国の卑弥呼を思い出していただくとわかるように、この時代の巫女は政治的象徴でもあります。これらのことを整理したうえで総合的に考えると、古事記の記述は、下記のように読み取ることができるのです。
●大国主命=八十神の末弟と表現されているので、邪馬台国側の人間。しかしながら地位的には低い身分であり、労働者のように扱われている。因幡の白兎(因幡地方の住民)に好意的であり、慕われて、リーダーになることを求められている。
●八十神=邪馬台国(大和朝廷?)側の人間で、支配者階級。因幡の白兎(因幡地方の住民)をいじめている。(実質的に支配して年貢などを搾取していた。もしくは支配しようとしていて、住民を攻撃していたか?)
●因幡の白兎=予言を与える者。(住民側の意見を述べる者)因幡(現在の鳥取県鳥取市岩美郡 八頭郡)と土地の名が頭に付くので、因幡地方の住民を表していると考えられる。邪馬台国に支配されている現状に不満を持っているが、他の地域に逃げ出すことができない者。(大陸由来の人間だが、大陸に戻ることができない者『海を渡れない』と表現されている)
●八上比賣=地域住民のリーダー的存在。もしくは実在する人間ではなく象徴。彼女を娶るという意味は、因幡地方住民の信頼を得るということであり、実質的なリーダーの座を得るという意味になる。
古事記の物語中で、八上比賣は八十神の求婚を断り、大国主命の妻となることを宣言します。すなわちこれは、因幡地方の住民は邪馬台国の支配を退け、大国主命を新たなリーダーとして独立宣言を行ったと読むことができるのです。
今回のお話はここまで。その2へ続きますが、公開時期は未決定です。
ごめんなさい。(^^;)
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