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・22:05『温かい夜には、優しいエンドロールを』
「ごちそうさま!」
「ありがとうございました!」
「お疲れ!」
めしやの表。
夏目家に挨拶をして、高校生たちは外に出る。
1人、自転車通学のあかりが、側に停めておいた自転車を取りに行っている。
夜はかなり涼しくなってきたが、鍋のおかげでみんなポカポカである。
清香が外まで出てきて、見送りをする。
いや、訂正しよう。
自宅まで歩いて数歩の小崎もまた、見送る側だった。
「あれ、お前帰んないの?」
と飯田が言った。
「帰るけど、まだ帰んない」
「え? まさか泊まるの?」
飯田の後ろから、宇野が顔を出した。
「やだー! お泊り?」
女子よろしくはやし立てる。
「おい、いつの間に?」
そうなると、もちろん飯田も乗ってくる。
「ち、違う! そんなわけねえだろバカ!」
小崎が真っ赤になって叫んだ。
バッと飛び出して、友人に蹴りを入れる。
2人がきゃーきゃー言いながら逃げるのを、全力で追いかけた。
「外で騒ぐんじゃない!」
環菜が一喝した。
「今何時だと思ってんの!」
「出た、お母さん」
と悠希が言った。
お母さんに怒られた男3兄弟は、大人しく戻ってきた。
「片付け手伝わせられるから……帰れねえだけだし」
しかし、小崎だけは1人でぶつぶつ文句を言っていたのであった。
「じゃあ、清香と小崎はまた来週」
と環菜は言った。
みんな次々に、別れの挨拶を投げる。
「うん、みんなも気をつけて帰ってね」
清香は笑顔で手を振った。
「私はこの後ケーキ食べる」
「その情報はいるの……?」
悠希が首をかしげた。
「じゃあ、行こうか」
環菜が駅の方向を見た。
「あかりは?」
「駅まで一緒に行く」
「じゃあ、みんなで帰ろう」
「バイバイ」
「バイバイ」
「じゃあね」
環菜、璃子、悠希、あかり、飯田、宇野の6名は、ゆっくり駅に向かって歩き出した。
清香と小崎が、道の真ん中まで出て来て、見送っている。
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