11月2週目

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「えー、じゃあ、今日の連絡事項」  和田が淡々とHRを進めて行く。 「――何か今日、和田ちゃん眠そうじゃない?」  環菜が近くの宇野にこそこそ言った。  確かに、いつもに増して髪はボサボサ、目もとろん、としている。 「寝れてないんじゃないの」 と宇野は返した。 「なるほど」  環菜はうなずいた。 「受験生のクラスを受け持つってのも大変なんだろうね」  まるで他人事のようである。 「えーと、最後」  和田が相変わらずもにゃもにゃ話す。 「まあ今まさに受験やら就職やら、みんないろいろ大変だろうとは思うけど、その先のことも考えなければならないわけで」 「……?」 「さあ、何でしょう」  突然、早押しクイズが始まった。 「クリスマス!」 「それはもうすぐだな」  生徒たちが、次々に自席の机を叩いて回答していく。 「ケンタッキー!」 「正月!」 「おもち!」 「バレンタイン!」 「ゴディバ!」 「越後製菓!」 「俺の誕生日!」 「ミスド100円セール!」  早押しクイズと言うよりは、大喜利合戦のような状態になってしまった。  待て待て、と和田が止める。 「何でそんな個人的なことをHRで話すんだよ。――てか誰だよ、越後製菓って言ったやつ」 「もうそろそろ、そんな季節ですよ」  環菜が痛む手のひらを振りながら、ニヤニヤ笑っている。 「お前か」  やはり、という表情の和田であった……。 「でも、買うのは大体サトウの切り餅だけどね」 「知らないよ」  和田はえふん、と咳ばらいをした。 「受験が終わったら、卒業でしょ」
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