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「ふわあああっ――!!」
自分の声に驚いて目が醒めた。
ああ、夢か――と安堵して胸を撫で下ろす。
夢……、
そう、何か良くない夢を見ていたのだけど、もうどんな夢だったか覚えていない。
時計を見ればもう家を出ないといけない時間だった。悠長に胸を撫で下ろしている場合ではない、急がなければ遅刻してしまうと、急いで着替えて家を出た。
会社に着き、支給されたばかりの制服に着替える。
「野田さんの制服、特注だって……」
ロッカーの影からクスクスと笑い声が聞こえて来る。嫌だなと感じて背中を丸ませた。
制服を注文する時に試着にあったサイズが、S·M·L の三サイズのみであり、それ以外のサイズになると特注だと言われた。
同期のみんなはSやMサイズなのに、私はLサイズでさえも入らなかったのだ。
背が高い訳ではない。むしろ同期の中では低い方に入るだろう。
「仕方ないよ、野田さんってデブだもん……」
まだ笑い声が聞こえて来る。
デブだもん……
仕方ない……
私も自分で仕方ないと思っていた。
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