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一旦土佐谷くんのところに戻って、しばらく何も出来ないことを言わなければならない。
勝手に着いてくる二人をそのまま好きなようにさせて歩いていたら土佐谷くんが遠くでこっちを2度見したのを目撃した。すごい顔してた。
二人が勝手にフランクフルトや焼きそばを金を払わずに食べ始めたことにも気にせず、土佐谷くんに状況を説明して皆に謝った。
「はぎたにっ!これ!おいしい!」
「チョコバナナですか?私が担当したものですね、ありがとうございます。」
「で、でも!これからどうするんスか!」
「何事もなければ食堂は忙しくはないだろうし、生徒会の方々が来ても皆なら大丈夫だよね。今から理事長のところへ行ってどうしようか検討してくる。」
「悠介作ったやつ俺にも寄越せ。」
「少し空気読んでください、木戸崎先生。」
土佐谷くんとの会話の中でちょいちょい俺に話しかけてくる二人のせいでどこまで話したか忘れてしまいそうになる。
先輩は後で覚えてろよ、とよくわからないことを言っていた。
多分、部屋に戻ったらまた俺を拘束して匂いを嗅ぐ気だろう。誰が来ても居留守使おうかな。
「料理長1人だけで理事長室行くのは心配っスよ!俺も一緒に行くっス!」
「理事長んとこなら俺も行くぞ。」
土佐谷くんと木戸崎先輩は理事長のことを知っているから一人で会いに行くのは危険だと知っている。
庭羽野くんはまだ理事長と会ったことがないそうで、首を傾げていた。
「仕事を放棄してはいけませんよ。一人で行くので…」
「ゆうちゃぁああんっ!」
「…え、ちょっと、」
「無理ごめーん!止まれなーい!」
振り向けば案外近くまで走ってきていた彼からドスッ、と強いタックルを受けて体ごと吹っ飛びそうになったのを踏ん張って耐えた。
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