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昨日から土佐谷くんが変だ。
あの騒動が起こって走って逃げ切った次の日、土佐谷くんはぎこちない笑みで挨拶をしたのだ。
ギクシャクとロボットみたいな歩き方で、仕事も小さなミスが多かった。
体調が悪いのかもしれない、と今日は暇そうだし休んでもいいよと言っても大丈夫ってそれを拒否した。
朝は理事長がおらず、腕が使えないから指示だけするという最低な上司をしている中、土佐谷くんの方を何度も盗み見したが何か考え事をしているようにも思えた。
昨日俺がてんやわんやしてる間に深刻な問題が起こった可能性がある。
土佐谷くんが元気ないってことは相当な事が…
「俺、理事長室行くからここ頼んでもいい?」
「あ、はいっス!任せてください。」
夕食の仕込みも俺が何も出来ない分、いつも以上に手伝ってくれているけれど本当に大丈夫なのかと不安になる。
昨日は逃げ切ることに精一杯で理事長のところに行けなかったから今から向かうことは確実で、一人で食堂に残すのが心配で仕方ない。
「…無理は禁物だからね。」
「なっ、ななな何言ってんスかー!大丈夫っスよー!」
わかりやすすぎる。
あえて自分からは聞かないことにして、食堂を出た。
俺に気軽に相談できるほどまだ信頼されていないんだと思う。悲しい。
俺は土佐谷くんのことなら小さなことでも知りたいんだけどな。
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