唐揚げ

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「つれないわぁ…そんな即答しなくてもいいじゃない…」 あいにく俺にはオネェさまの耐性がない。耳元で話されるとゾワゾワと寒気がする。 しかもスキンシップが激しいと俺らの中では危険人物になりつつある方だ。 すごくいい人なのは知ってるんだけど。 「そうねぇ…無理に動かして悪化させても困るしねぇ。あ、そうだ!」 突然大きい声を出されてビクッとなった俺の肩に手を置き、人差し指でツンと頬を刺された。 爪が食い込んでいる。 「アタシと籍入れる?」 「すみません。」 「やーんっ!なんで流されてくれないのよぉ!」 いや、むしろなんでこういう流れになるんだ。 理事長は言ったことを本当に実現する人だから尚更怖い。冗談が本気に聞こえる。 「んじゃあキスの1つでも貰おうかな。」 「えっ、」 「アタシ一生懸命考えてるんですけどー!!萩ちゃんのために考えてるんですけどー!」 ほっぺがいいな、と理事長はつんつんと指で自分の頬を突いて示した。 「理事長…」 目を閉じてじっとしている。 そうなるとこの人は頑固だ。何がなんでも絶対動かないつもりなんだろう。 「まだぁ?レディを待たせたらダメでしょ?」 ついには口を尖らせた。う、の口になっている。 「はーやーくー!」 もしかして口にしろと…?そんなわけないよね。レディってどこにいるんだ一体。 この試されている状況の中で、変な汗がかきっぱなしで喉もカラッカラになっているのに気がついた。
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