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「理事長…」
俺は手を理事長の顔に伸ばし…
「んむ…?」
何かに違和感を感じて目を開けた理事長とバッチリ目が合う。
「そういうのは俺にしたらダメです。」
目を見開いて瞬きを一回した理事長は俺の手で口を覆われて話すことが出来ない。
理事長というこの学園で最も偉い人にこんなことをするなんて、他の人に見られたら首が飛ぶのはわかっている。
よかった、ここに誰もいなくて。
嫌がる様子もなく、動かずじっと俺を見つめる理事長。気まずくて視線を横に逸らすとククッと理事長の喉が鳴った。
「もう、ほんとかぁわいい…」
理事長がペロッとそのまま手の平を舐めた。ぞわぞわぞわ、と全身に鳥肌が立つ。
「…はい?」
今の理事長の顔は何かを企んでる顔だ。
俺は何をされた。怖い。この人怖い。しれっとしてるの怖い。
「わかった。怪我が治ったら最高のディナー、待ってるわ。」
「…お任せ下さい…?」
怪我をしている手首を優しく撫でて約束、と耳元で囁いた。
色っぽい理事長の声が耳に残って耳の中をほじくりたくなる。
「とりあえず萩ちゃんはこれから保健室に行ってちょうだい。」
ずっとここにいてもいいけど、という声は聞かないことにした。
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