唐揚げ

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保健室。怪我をした時や具合が悪くなった時に行く場所。心を休めるために行く場所。生徒が授業をサボるための場所でもある。それぞれ来る人は理由が違う。 ここは保健医が堂々と自分の部屋のように寝る場所ではないと思っているんだが。 「…なんでここで寝てるんですか。」 職務を放棄して保健室のベッドにぐーすか寝ているこの人の布団を剥ぎ取る。 「起きてください、先輩。木戸崎先輩。」 「…うっせぇなぁ…寝かせろ…」 「一応仕事中ですよね?」 布団がなくて寒いのか身を縮めて丸くなった。 猫のような、赤ん坊のような。随分とでかい赤ん坊だな。完全な給料泥棒だ。 「さみぃ…」 「っうわ…?!」 急に腕を引っ張られたから反応が遅れた。ぼふん、と顔面から先輩の胸板に突っ込んだ。 「…木戸崎先輩。」 「お前も寝ろ。」 「本格的に寝させるのやめてくれませんか。」 眠気を催促するようなスピードで頭と背中をポンポンされたら自分の意思関係なく瞼が閉じてしまうだろう。 先輩の両脇に手をついて肘を伸ばす。あー、と名残惜しそうな声が聞こえた。 顎の髭を一本引っこ抜いてしまおうか。
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