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「んで、なんで悠介がここにいんだよ。」
「理事長から聞いてませんでしたか?」
「…理事長ォ?」
のっそりと起き上がって欠伸をしながらベッドから降りる先輩を2m離れて待つ。
白衣を羽織って身を整えている間にこと細かく説明したら自分の顎髭を触って考え込む素振りをしていた。
「つまり朝から晩まで一緒ってことか。」
「語弊がある言い方ですね。」
なるほど、と納得したような顔をしないでほしい。全然違うから。
「そういうことだろ、照れんな。」
「照れてないです。」
「おーよしよしこっちに来い。」
じりじりと歩み寄ってくる先輩が怖すぎる。俺がノーと首を振ってもお構いなしに俺を前から拘束する。
「よっこらせ。」
「え。」
そのまま抱き上げられ、地面から足が浮いた。
「…あの、穴があったら入りたいんですけど…」
もうすぐ三十路になる男が男に抱っこされるなんて絵面が最悪すぎる。
「あ?いいだろ別に誰も見てねぇんだから。」
「無理です。プライドが傷つきました。」
「きちんと、俺が、責任とってやるから安心しろ。」
ベッドに逆戻りして丁寧に降ろされてしまったら俺はどういう感情になればいいのか。軽々しく運んでるのが腹立たしい。
「よし…んじゃあお前、俺の質問に正直に答えろよ?」
「…はい?」
「ここに来る前、理事長と何してた。」
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