唐揚げ

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視点変更​──?side​── 机の上には書類、横を見ても書類、他の机にも書類、周りを見渡しても書類… 紙に囲まれて黙々と書類に目を通す作業。毎日同じことの繰り返し。 「もぉー!やってもやっても増えてく一方なんだけど!!」 「ここら辺の書類ほとんど風紀がやるべきものだろ…」 「完全に押し付けられたね。」 「はぁっ?!金払うならまだしも、タダ働きだよ?!無理無理やってらんない。」 あの風紀委員長は違反者をとっ捕まえて罰を与えて、報告書は書かずに放置するのがいつもの事だ。その分の書類が決まってこっちにまわってくるのを、時に争いながら結局はこっちで片付けることが多い。 まさに倉間秋人(風紀委員長)らしい。 それはもう慣れたから本音を言えば今はどうでもいい。今まで何とか効率よく出来ていた。 だが。 「転入生への被害届までこっちに来てんじゃんか!」 一番気に食わないのはこいつだ、転入生。 ものを壊したり人に迷惑をかけたりと毎回飽きずにやっている。 一度話しかけられたことがあるが、人間ではない言動に腹の底から黒い何かが込み上げてきて危うく手が出るところだった。 腹が立つ。 転入生の存在自体も、余計に面倒臭いと言ってこっちに押し付ける風紀委員長も。 私だって面倒事は嫌いだ。時間も労力も無駄にはしたくない。 「文句は自分の仕事が終わってから言いましょう。」 みんな文句を言いながらも手は動いている。 本当だったら何も言わずに作業だけしてほしいのだけれど。 なぜ私達がこんな後片付けをしなければならないのか。ふと考えてしまう。答えは誰も教えてくれないのに。 「…はぁ。」 さすがに、疲れた。 「今日ゆうちゃんの包帯替えてあげようと思ったのに…」 唐揚げが食べたい
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