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聞きたいことはいくつかあるがその前に…電気がついていなくてもわかる。彼はイケメンだ。
いつもは前髪で顔半分くらい隠れているし、しかも黒縁眼鏡をかけていてほぼ顔が見えなかった。
今の彼は全力で走ったのか前髪は後ろに流れておでこが見えている。
「萩谷さんっ!ち、かいです…」
「すみません、つい。」
ジロジロと見すぎてしまった。
男に顔観察されたら気分悪くなるよね。反省。
「それより鬼ごっこは終わりました?」
「っ鬼ごっこじゃないですよ!…こっちは死ぬかと思って…」
デスゲーム…?
こんな過酷なミッションが知らず知らずのうちに…
やはりこの学園は顔採用90%であり、命懸けでもあるんだな。
「転入生に眼鏡取られて追いかけられて…」
出勤前に正門のところで声をかけられ今の今まで追いかけられていたと。眼鏡盗まれるのはさすがに辛い。
噂の転入生ってやはり噂通り元気な生徒さん。
「もう最悪だ…遅刻した上に萩谷さんに顔見られた…しかも、あんな事まで…ああぁ…」
なんか1人でブツブツ言いながら頭を抱えていた。
「あっ!!もしかしてケース運んでくれたのって萩谷さん、ですか?!」
「え?そうですけど…東条くん?なんか、」
なんか変だよ、と言う前に東条くんが慌てたように立ち上がった。
「…う、」
俺の上に黒い影が覆い、ゆらりと揺れる東条くんの身体。
「東条くん?!」
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