お肉

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しばらくして、木戸崎先輩から東条くんが目を覚ましてある程度落ち着いたと連絡があった。 食堂の準備に少し時間がかかって保健室に行くタイミングがないまま昼が過ぎてしまったが、生徒の昼休みには東条くんも購買に戻って販売していたらしい。 よかった。 「ご迷惑をおかけしました…」 休憩時間中、食堂に東条くんが来てくれた。 「わ、東条くん、顔をあげてください。体調は大丈夫ですか?」 顔が膝につきそうになるほど90度ならぬ180度腰を折った。いつのまにか髪型も元通り、眼鏡もかけている。 「はい、もう萩谷さんのおかげですっかり良くなりました…ありがとうございました。」 「安心しました…大変そうでしたもんね。」 素顔を見てからやはり東条くんも"隠れ"がつくイケメン枠だったか、と考える。 転入生との恐怖の鬼ごっこも逃げ切れるくらいだし足が速いのかな。 こうして顔を隠しているのもイケメンならではの悩みがあるのかもしれない。羨ましい。 自分の周りにはイケメンしかいないのか。 「お昼は食べましたか?」 「あっ、いえ、軽くしか食べれてないので、す、すー、すっっごくお腹が空きましたっ…!」 それは大変だ。多分、とても空腹なんだろう。 「何食べたいですか、作りますよ。」 「…肉、が食べたいです…」 もう、分厚いステーキにしちゃう。
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