お肉

11/11
前へ
/146ページ
次へ
人間の三大欲求の一つ、食欲。 毎日お腹がいっぱい食べてもらいたいのが料理人の俺としての願い。 「忙しい時こそですよ。きちんと食べてください。」 「は、い。」 なんで嬉しそうな顔をするの。 ごちそうさまでした、と両手を合わせて挨拶をした後も口元が緩んでる。 注意したつもりだったんだけどな。 「あ、あの!萩谷さん…最近変なこととか、嫌なこととかありませんでしたか…?!」 東条くんが残りのコップの水を一気に飲み干し、前のめりになった。 「…変なこと。」 記憶を遡ってみてもいつも通りの日常を送っていたし、昨日の夜ご飯何を食べたのかもパッと出てこない。覚えてることと言ったら、今日の東条くんがここ最近のMVPだと思う。 「いや、全くなかったですね。」 東条くんが安心したように一息ついた。 「少しでも変だなって思ったらすぐに警戒してくださいね。」 「警戒?」 「まぁ…萩谷さんの周りでは何も起きないと思うんですけど。」 「え?」 もしかして自分の知らないところで戦争かなにかが始まってる?
/146ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3347人が本棚に入れています
本棚に追加