間食のスルメ

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みんなが言うAとは、転入生のことだった。 この組織は"転入生"とはっきり言わず、Aという名で悟られないように言い換えている。 「それでいつAがあの人のことを耳にし、近寄ってくるかわからない。今は僕たちだけで何とかできているが、すり抜けて来るかもしれない。」 Aは得体の知れない生き物だ。 誰もが言わずとも思っていることだった。 「だから見守り(警備)を強化したいと思っている。」 あの人には気づかれないように、でもAとの接触を絶対させないように。 大切な人を守らない理由はない。 全員が同意した。意気込んでる人もいる。 対策や案をそれぞれ話し合い、決定した。 「それじゃあ…これからはこれで…」 「ちょっとちょっとーっ!」 後ろの扉から大声で入ってきた1人の生徒。 バーンっと音が鳴るくらい勢いよく扉を開けた。 「風紀が入りまーすっ!」 「…チッ」 誰かが舌打ちをした。 「ダメでしょ、親衛隊が集合するの。今禁止してるの知らないのー?」 実は最近、風紀委員会が風紀を乱さないために無期限の親衛隊集会禁止令を出した。 体育館で全校生徒の前で風紀委員長が発表したのだ。もちろん、知らない人はいない。
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