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ふらっと入った居酒屋。元気に挨拶してる店員さん。空いていた個室にすぐ案内された。部屋は和室で靴を脱いで上がる。四角いテーブルと座布団が4枚。
周りの目を気にせず寛げる個室最高。
今週もお疲れ様でした、と乾杯してから頼んだ料理がどんどん運ばれてきて仕事の話や趣味の話で盛り上がった。
「やっぱり酒です。」
まだ一口も飲んでませんって顔して1番飲んでる栄さん。ビールから始まって猛スピードで酒を飲み進め、現在日本酒をくいっと飲んでいる。
「何かあったんですか、栄さん。」
あの栄さんがセーブをせずに飲み進めてるのもやっぱり変だ。
見た目こそ変わらないが、酒のおかげで口数も増えていってる。
俺が限界を迎える前に聞く。
「実は、最近毎日のように花瓶の花だけがなくなっていて、困っていたんです。でも…今日偶然見つけてしまって。」
酷く悲しい顔をした。
「…あの転入生、酷いんです。」
『ここの花いっつもキレーだから持って帰ってんだ!…あ、ダメだったのか?じゃあ、俺のために花くれよ!』
あぁ、また転入生の話だ。
何者なんだその転入生は。栄さんをこんなに悲しませるなんて。
困ってたことに気づかなかったのも悔しい。
「もちろんお断りしたんですが、理解してくれてるかどうか…」
なんか、体がぽやぽやしてきた。
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