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名は 山崎 和人。
特に変わったことはない家庭で
特に変わったことはない息子として生まれ
特に変わったことはない人物として生活し
特に変わったことはない学の道をたどり
特に変わったことはない今の職場に就職した。
同じ言葉が羅列する理由
それは多分
自分を「特に変わったことはない」人間として、位置づけたかったのだろう。
ゲームで言う、村人Aのような
学園ドラマで言う、主人公のヒロインとクラス1のモテ男を遠巻きに見つめる、名も知られぬクラスメイトのような
パニック映画で言う、突如現れた巨大生物に、手本のような動きで驚き逃げていく人混みの一人のような
そんな存在でいたかったんだと思う。
自分に催眠術をかけるように
自分が「特に変わったことはない」人間であると認識させて
あふれんばかりの栄光を掴むことなく、痛手を被ることもなく
平凡に生きていく。
それが一番 合っていると思った。
思いたかった。
思いたかったのに。
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