籠の鳥(45)

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籠の鳥(45)

 それでも真純は、異様な雰囲気に気おされることなく、四階の部屋を一つ残らずきちんと調べた。とはいっても、すべての扉に(遥の言葉どおり)鍵がかかっていたので、全部のドアノブを回してみただけだったが。  真純は肩を落とし、うつむきながら階段をおりた。その際、靴が埃で汚れてしまっているのを見つけて、ますますへこんだ。  真純は、燭台を部屋に戻した。気を取り直し、今度は二階の捜索に取り掛かる。二階は、廊下に明かりがついているし、ちゃんと掃除もされている。今でも遥たちが使っているということなのだろう。  真純は、少し緊張しながら、まず、三階の自室の真下にあたる部屋に行ってみた。すると、ここも鍵がかかっていた。  真純は、再びめげそうになった。もしかしたら、二階の部屋も全部鍵がかかっているのかもしれない。そんな、悲観的な考えでいっぱいになる。  だが、調べないわけにはいかない。真純は、開かなかった扉に背を向けて、二階の間取りを確認した。真純から見て、右側に二部屋、左側に三部屋、真向かいに一部屋が設けられている。真純は、左側の手前から試してみた。  もう少しで奇声をあげるところだった。ノブが、なんの抵抗もなくくるりと回り、扉が開いたのだ。  真純はさっと周囲に目を配り、誰も見ていないことを確認すると、扉の内側に入り込んだ。  そこは、どうやら書斎のようだった。落ち着いた深い瑠璃色の絨毯が床一面に敷かれており、窓際には、こげ茶色のどっしりとした書き物机と、黒い安楽椅子が置かれている。最近では誰も使っていないのか、机と椅子には少し埃が積もっていた。それでも、窓があり、カーテンが開けられているので、四階のような陰気さはない。
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