ピールブ旅行

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私はディアランザス星王女。 王女でありこの星最高の頭脳を持つ科学者で天文学者でもあるわ。 ずっと気になっている星があるの。 ディアランザスからだと物理的な移動は不可能な距離にある星。 ピールブ。 私達はそう呼んでいるわ。 最高性能の天体望遠鏡でその星を眺めてはガルシュバ… ああ、この星のお酒ね。 それで酔ったまま眠りにつくのが私の日課。 その星に私たちと同じような知的生命体がいることも特殊な方法で確認してる。 ディアランザスは宇宙一といってもいいほど高い文明、科学力をもった星なの。 その星の科学の最高権威は私。 その私がもう、 愛してやまないピールブ。 蒼くて大きくて輝いていて とにかく他の星にはない力強さと美しさをもっているの。 行きたい。 行ってその生命に満ち溢れたはずの世界を旅したい。 もしかしたら、ディアランザスを超える文明があるかもしれない。 遠い昔から姿を変えずにそこにある時点でその可能性は十分にあるの。 そう。 私はある発明をしたの。 物理的に私がピールブに向かうのは不可能。 だから人の中にある意識。 それだけをその星に向かわせればいい。 それなら物理的観点からみても時空を…  ああ、難しい話は分からないわね。 とにかく私の意識だけワープさせてピールブまで届かせる装置を発明したの。 もう「天才」なんて称号はもらい飽きたからいらないわ。 この装置は私の意識だけを飛ばすから ピールブでその意識を受け取る箱が必要。 その箱となれるのはまだ意識が生まれていないお腹の中の赤ちゃんなの。 意識は同じ頭脳に2つは存在できないから赤ちゃんに芽生える前に。 そして、そのピールブ人の脳が私の意識に耐えられるようになる年月、 そうねピールブの時間で18年。 その時が来たらそのピールブ人の中に私の意識が復活する。 つまり19歳のピールブ人としてその星を楽しむことができるの。 もちろんある程度満喫したらディアランザスに戻るから その時借りていた身体には元の意識が戻るの。 乗っ取りたいわけではないから。 ちょっと貸してもらうの。 私の意識は18年も眠るのかって? それは大丈夫。意識だけの話だから時間の概念は眠っている間ないの。 私にとってはワープして復活するまでの間は一瞬にしか感じない。 ディアランザスに残した身体は冷凍保存して眠らせて。 その機能も備えた意識転送装置。 その中に入ってスイッチを押すと… ピールブ暦2019年。 えっと… ここは病院かな。 なるほど、意識復活の時に倒れちゃったのね。 「ななみ、大丈夫?」 このコの友達かな?なるほど私のピールブでの名前は「ななみ」ね。 「ねえ、この星の名前ってなんて言うの?」 「何言ってんの?ななみ!ここは地球だよ!?ほんとに大丈夫?」 なんでいきなり話せるのかって? それは「意識」というものは電気信号みたいなもので 言語などの人間の基礎能力は脳から引き出すことができてそして記憶は… もう!そんなことはどうでもいいの。 ピールブでのピールブの名前は地球。 うわあ、ワクワクしてきた。 意識転送は大成功。 さあ地球旅行を楽しまなくちゃ。 私は「ななみ」として 頭を打ったみたいと記憶障害を演じて色々この星のことを聞いてみたけれど ディアランザスと違ってこの星は国が一つとなっていなくて言語も様々。 ここは日本という国で日本語でピールブは地球。 タピオカっていう飲み物を飲んでる途中で倒れちゃったみたい。 飲んでみたいな、タピオカ。 病院から自宅に帰ってななみの両親にひととおり心配されて 自分の部屋に案内されて… へえ、この子おしゃれな子なんだ。 ディアランザスであれピール… あ、地球か。 であれ、ファッションセンスというものはやはり同じなようで。 ちゃんとこの星でもかわいいと思えたことがまた嬉しくて。 写真… この子は容姿もよくて、 意識が入ってわかるけどいい頭脳ももっているわ。 素晴らしい身体を借りれたようで嬉しい。 ありがとう、ななみ。 さらに部屋を見渡してわかる。うん。 思った通りかなり進んだ文明の星みたいね。 スマートフォンというものらしいけどこの星では まだチップは身体に埋め込まれてないのね。 倫理上の問題かな。 さあ、検索検索… タ、ピ、オ、カ、と… あった。 原宿っていう場所にあるのね、なんかすごく楽しそうな場所ね。原宿。 あとはこの星の情報が知れる場所。 図書館?っていう場所に行けば文献がたくさんあるようね。 目黒… よし、登録と。 ベットはディアランザスと変わらないフカフカ… おやすみなさい… 地球の朝。興奮しちゃう。 さあ… タピオカね!  ついでのような図書館は後回しでまずは原宿。 山手線?っていう、かなりレトロな乗り物に乗って駅から出ると びっくり!ヒトがたくさん! もう嬉しくなっていろんな人に話しかけたくなったけど ななみに悪いからやめておこっと。 竹下通り?っていう通りのお店で並んで並んで485円… 安いのかな?これは。飲んでみて… びっくり!何これ?!不思議! でも美味しい!!カワイイ! これ何でできてるの?おもしろいなー。 ディアランザスで再現できるように記憶しなくちゃ。 さらに竹下通りを歩いてみると なんかステキなお店がたくさん! なんて楽しいの原宿!カワイイ! 地球で一番最初に来たのがここなんて私は幸運ね。 あーでも、もう一回これるかな? 日本以外にも行ってみたいしね。 ロサンゼルス、パリ、ロンドン、台湾。 ななみの部屋にあった本に載ってた場所。 だけど、この身体でいるのは地球の時間で1ヶ月。 ほんとはもっといれるしいたいけど、 さすがに他人の身体を借りてあんまり長く過ごすのは申し訳ない。 だから私が自分で決めたルール、1ヶ月。 そのくらいならば意識が戻った後も記憶障害などでごまかせるし。 たった1ヶ月。ちゃんとスケジュールを立てなきゃね。 それじゃ、タピオカの後は... 地球から見たディアランザスの位置を把握しなくちゃ。 意識転送装置の作り方は簡単だから、あとは位置さえわかれば。 その情報を得るために六本木、秋葉原、押上、上野、はまたあとで。 今日はタピオカ飲むついでだったけど、 実は一番重要だった図書館へ。 さあここが図書館。 やっぱり私は科学者なのね、本の香りで落ち着いちゃう。 さっそく天文学のコーナーで... えーと。 あっこれかな? そうそう…こっちの銀河から… あれ? うそ… もしかして… この星の天文学研究では ディアランザスどころか その周辺銀河もまだ発見すらできていないの?! というか、まだ地球外生命体すら発見されてないの? 宇宙開発は? え? まだ地球人は衛星である月に行った程度? こんなに文明が発達しているのに? タピオカを生んだ星がなんで?! なぜこんなに天文学は遅れているの? 歴史… この星は長く不安定な時代が続いていて 大国でさえある程度の平穏を迎えたのは約70年前… そこから急速な成長をしてここまでの文明になったの? たった100年足らずで? それはすごいけど。 それはすごいけど… 私はその図書館でいろんな情報を手に入れてよくわかったの。 この星の文明の成長は偏りがあって、 それが故に地球外のことについてはまだ発展途上。 私としたことが、ピールブの文明を信じ切ってた。 私って、天才なのにこういうことがたまにあるのよね。 えーと… 計算すると… ディアランザスの位置を正確に測れるようになるには… 100年。 しょうがないか。 どうせディアランザスは退屈で地球の方が刺激的だし。 ななみの人生を100年借りて私がこの星の天文学を発展させる。 そしてディアランザスの位置を確認できたらすぐに意識転送装置を作って帰るわ。 ごめんね、ななみ。 そのかわりあなたの意識が戻ってきた頃、 あなたは確実にこの星一番の地位と名誉を手にしているわ。 約束する。 だからあなたの100年貸してね。 まあ、あなたにとっては一瞬のはずだから。 もうしょうがないもんね。 ほんとにごめんね。 じゃあ… パンダ っていう動物を見に行こうかな!上野!
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