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文明がいくら発達しようとも、人は今なお自然の驚異に打ち勝つことができない。しかし昔に比べ台風や地震による被害規模は小さくなったため、自然への畏怖を忘れている。その証拠に防災グッズを準備していない人、台風の日に海の荒れ模様を見に行き波にさらわれる人など、少数ながら被災する人が後を絶たない。自然を多少操れるようになったなどという傲慢、心配不要だとする怠惰な姿勢でいると、しっぺ返しを食らうことになる。
教訓を忘れたころに災害はやってくる。チェルノブイリ、福島原発事故、大きな爪痕を残されたにもかかわらず、人は痛みを忘れる。そして再び悲劇がこの日本で繰り返されてしまった。しかも規模を大きくして。政府は緊急会見でこう発表した。ただちに人体への影響はない、と。
「ただちに」
では、その後は?
日本人は全体主義の気質がある。皆が避難しないから私もしないという受動的な人間が大半だ。中には大丈夫大丈夫と、いったい何を根拠に言っているのか、楽観主義者まで現れる始末である。彼らは死の間際まで安全神話にしがみつくことだろう。
同じ民族ながら勝手に滅んでくれと思う。私からすれば冗談じゃない。私は泣き寝入りはしない。自己防衛するための行動を起こす。少しでも原発事故の中心地から離れなければならない。目に見えない放射線にこの体が蝕まれないように。私は車を走らせた。少しでも遠く、遠くへ。
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